DellがAI Factory戦略を加速。ワークステーションからデータセンターまでシームレスに拡張できるAI基盤【Dell Technologies World 2026】

by · マイナビニュース

Dell Technologiesは米国時間2026年5月18日から、米ラスベガスで年次カンファレンス「Dell Technologies World 2026」(以下、DTW 2026)を開催する。

会期中、AIインフラ戦略の核となる「Dell AI Factory with NVIDIA」の大幅な拡充など多数の発表が行われる。

2年前のDTWで発表したDell AI Factory with NVIDIAの導入実績は5,000社を超えており、今回の発表はAIを「試す」フェーズから「本番稼働で拡張する」フェーズへと移行するための実践的なアップデートが中心となっている。

AI導入の入り口はワークステーションから――「Dell Deskside Agentic AI」

Dell AI Factory with NVIDIAでは、エージェント型AIの展開支援、データ基盤の強化、インフラの拡充、エコシステムの拡大などを強化した。

エージェント型AIの展開支援では、ワークステーション上でエージェント型AIをローカル実行できる「Dell Deskside Agentic AI」を発表した。クラウドに依存せず、データを外部に出すことなくAIエージェントをビルド・テスト・運用できる環境を手元のワークステーションに構築できる。

コア技術としてNVIDIAの「NemoClaw」を採用。エンタープライズグレードのセキュリティとガバナンスを最初から提供し、ランタイム・モデル・セキュリティレイヤーを一括でインストールできる。対応機種はGB10からGB300、Dell Pro Precision Towerまで幅広く、300億から1兆パラメーターまでのモデルを実行できる。

パブリッククラウドAPIと比較して最大87%のコスト削減が見込まれ(2年間の利用を想定)、損益分岐点はわずか3カ月という。エージェント型AIはトークン消費が急増する傾向にあり、コスト管理の観点からもオンプレミスのローカル実行に優位性がある、とDell Technologies シニアバイスプレジデント クライアントソリューショングループのJon Siegal氏は強調した。

ユースケースの参照アーキテクチャとして、ソフトウェア開発チーム向けの「Deskside Code Assistant」、大学・政府機関・医療機関向けの「Deskside Research Assistant」、規制産業向けの「Deskside Private Assistant」の3種類が提供される。

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複雑なAI基盤をパッケージ化した「Dell PowerRack」

また、強化した統合データ基盤「Dell AI Data Platform with NVIDIA」ではNVIDIA Omniverseのサポートを新たに追加し、デジタルツインやPhysical AIを本番品質のストレージ・パイプライン上で実行できるようになった。

データ準備の面ではNVIDIA・Starburstとの協業でGPUアクセラレーション対応のSQL分析を実現し、NVIDIA Blackwell GPU上でクエリ性能を最大6倍高速化。また、数十億の非構造化ファイルを高速インデックス化するオーケストレーション機能を強化し、ベクターインデックス処理で最大12倍の高速化を達成した。

そしてインフラ拡充では、コンピュート・ストレージ・ネットワークを一体設計したターンキー型のラックスケールソリューション「Dell PowerRack」を発表した。

PowerRackについて説明したシニアバイスプレジデント インフラソリューショングループのVarun Chhabra氏は、「エコシステムの選択肢が増えるにつれAI基盤の構成は複雑化している課題への回答」と、Dell PowerRackを位置付ける。

PowerRackでは、熱設計・電力管理・ソフトウェアがひとつのシステムとして設計・検証済みの状態で出荷される。「納品後6.5時間以内に本番ワークロードを稼働させることができる」(Chhabra氏)という。

ネットワーキング特化型の「Dell PowerRack for Networking」も同時に発表した。

800テラビット/秒超のスイッチング容量を持つ高速Ethernetスイッチ8台を搭載し、GPU密度の高い環境に求められる高スループット・低レイテンシの東西トラフィックを支える。工場出荷時点でネットワーキング・電力・冷却が統合済みのため、現地での組み立て・配線作業が不要という。

このほかにも、ストレージ面では、NVIDIAが3月に開催した年次イベント「GTC 2026」で発表した「Exascale Storage」にPowerFlexのサポートを追加した。

フロンティアモデルをオンプレミスへ

エコシステム面では「Dell AI Ecosystem Program」を発表。パートナーソリューションを検証しブループリントとして公開することで、顧客の概念実証から本番展開までの期間を平均1週間短縮できるとしている。

また、Google、Palantir、SpaceX(Grok)、ServiceNow、Hugging Face、Reflection AIといった主要AIプロバイダーとの協業を通じて、これまでクラウド専用だったフロンティアモデルをオンプレミスまたはハイブリッド環境で利用できるようにする。

例えば、Googleとの協業ではGeminiモデルをDell PowerEdge XC9780上でオンプレミス実行可能とし、データレジデンシーや主権要件を満たしながら高度なAIを活用できる。PalantirのFoundry/AIPはDell Object ScaleとPowerFlex上に展開され、エンタープライズデータの取り込みとAIによる業務ワークフローの自動化を実現する。